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Muse WonderとDotsは仕事の任せ方がどう違うか

Muse Wonderのモデル能力とMuse Code・Museアプリの機能を分け、Dotsと実行環境、記憶、連携、承認、料金、日本での利用条件を比較する。

メールを読んで資料を更新し、変更があれば翌日も追ってほしい。そのAIを選ぶとき、モデルの成績だけでは仕事の任せ方が決まらない。コードを直す端末、資料へ入る接続、途中で止める承認まで、どこに用意されているかを見る必要がある。

Metaが2026年10月12日に発表したMuse WonderとWonder Fullは、エージェント向けのモデルだ。モデルを使う完成済みの開発ツールとしてMuse Codeがあり、日常の仕事を引き受けるMuseアプリもある。Dotsと比べるときは、この三つを分けると選択が具体的になる。

この記事の要点

  1. Muse WonderとWonder Fullは、会話をまたぐ文脈を扱うActive Memoryと、障害への対応や必要な質問・重要な行動の前の確認を支えるActive Focusを備えたモデルだ。WonderはAPIとMuse Code、FullはMuse CodeのPower/Maximumで提供される。一般向けMuseアプリへのWonder搭載は今後の予定である。
  2. コード編集やシェル操作を任せるなら、承認・sandbox・MCPを備えたMuse Codeが選択肢になる。APIのcomputer useには利用側の実行環境が必要で、クラウドPCや連携、継続通知までまとめたDotsとは、用意する仕組みの範囲が異なる。
  3. WonderのAPI料金は100万トークンあたり入力4ドル、キャッシュ入力0.20ドル、出力20ドル。Muse Codeは学習利用と使用量増加を伴うContributor modeが初期設定で有効で、解除できる。料金とデータの扱いを、任せる仕事に合わせて選ぶ。

何を買い何を用意するか

モデル → 実行する仕組み → 継続して任せるサービス

モデルの層

Muse Wonder/Wonder Full。文脈を読み、計画や道具の呼び出しを出力する。

実行の層

Muse Codeなら編集・シェル・承認を用意。APIで自作するなら接続先と実行環境を組む。

継続サービスの層

Museアプリ/Dots。記憶、接続、通知を含めて仕事を任せる。WonderのMuseアプリ搭載は今後。

図1 比較のための三層の整理。DotsがMuse Wonderを使うという意味でも、Muse Codeに継続機能がないという意味でもない。

Metaの10月12日発表とMuseアプリへの導入予定

モデルと任せ先を分けて選ぶ

WonderはMeta Model APIとMuse Codeで利用できる。Wonder FullはMuse CodeのPower UsageとMaximum Usageで提供され、APIには出ていない。Fullは別のモデルで、通常Wonderの推論量をmaxへ上げた呼び方ではない。一般向けMuseアプリへのWonder搭載は、まず購読者から順次進める予定とされる。

開発者向け発表:WonderとFullの提供先

モデル一覧:Fullと推論設定の区別

Dotsは、GPT-6 Astraとクラウド上の専用PC・ブラウザを使う継続型のエージェント製品だ。利用者は仕事と接続先を指定し、結果や判断の相談を受け取れる。一方、Wonder APIで自分のエージェントを作る場合は、モデルへ渡す道具と、その道具を実行する仕組みを設計する。

Dotsの製品構成と継続する仕事

Active MemoryとActive Focusは何を変えるか

Active Memoryは、会話をまたいで意味のある文脈を保ち、今の仕事に必要な情報を取り出す能力として説明される。Active Focusは、難しい課題で別の方法を試し、障害や新しい情報に対応しながら進める能力だ。必要な質問や重要な行動前の確認も含まれる。

たとえば会議資料を更新するなら、前に決めた納期を思い出すことと、資料に入れないときに別の入手方法を探すことが別々に必要になる。この二つの能力は、その違いを捉えている。ただし保存先、保持期間、再開の時刻、アプリの権限は、利用する製品や実装で確かめる事項だ。

Active MemoryとActive Focusの定義

モデルカードの文脈長は100万トークンで、入力はテキスト・画像・動画・音声、出力はテキストだ。ただし音声を含む各入力が、利用するAPIやアプリで使えるかは提供面ごとに確認が必要になる。大きな入力枠と、長期の記憶を管理する製品機能も同一ではない。

MemoryBenchとFocusBenchにはMeta内部の評価が含まれ、SWE-Marathonの比較には異なるエージェント実行環境の結果が並ぶ。点数から、MuseアプリがDotsより確実に記憶する、長く自律実行できるとは結論づけられない。任せたい仕事での完成度と、途中の確認にかかる手間を別に測る必要がある。

モデルカード:入出力と評価方法の条件

道具とPC操作とアプリ連携を比べる

対象 道具とPC操作 外部アプリへの接続
Wonder API ツール呼び出しを利用。computer useの操作先、ドライバ、画面取得は利用側が用意する。 関数や連携経路をアプリ側で実装する。モデルの契約だけで全サービスへ接続されない。
Muse Code ローカルのプロジェクトで編集とシェルを実行。macOS・Linux・Windowsに対応。 MCP、skills、hooks、子エージェントで拡張する。接続先の認証と権限は必要。
Museアプリ 専用のMuse Secure VMでブラウザ・ファイル・コードを扱う設計。 Slack、Shopify、会計サービスなどのconnectors。各接続の範囲を確認する。
Dots 専用クラウドPCとブラウザ。任意で接続したローカル端末にも仕事を渡せる。 対応pluginsと接続済みアカウントを利用。連絡用チャネルと作業用権限は別。

APIのcomputer useで利用側が用意する実行環境

Muse Codeの編集とシェルとOS対応

Muse CodeのMCPと拡張

MuseアプリのSecure VMと権限管理

Museアプリのconnectorsと提供条件

DotsのクラウドPCとローカル接続

「PCを使える」という説明にも範囲がある。Metaのcomputer-use APIは、ホスト済みのVMやブラウザを一緒に提供するものではない。実行環境、操作の実装、安全確認、記録、失敗後の復旧を利用側で用意する。Muse Codeは完成済みのCLIなので、そのAPIを一から組む場合とは負担が違う。

長時間の仕事と承認をどう扱うか

Muse Codeにはプロジェクトの指示と永続ローカルメモリがあり、セッションをまたいだ作業に使える。承認とOS sandboxも初回から有効だ。WindowsではPowerShellを使い、音声入力とセッション間メッセージは未対応と明記される。workflowはビルドや展開状況で使える範囲が異なる。

Muse Codeの設定と記憶

Muse Codeの承認とプラットフォーム差

Dotsは会話の間にも仕事を追い、必要に応じて再開できる。専用PCでのクラウド作業は、手元のPCがオフでも続けられる。ローカル側へ任せた仕事には、接続したPCがオンラインでChatGPTアプリを開いている条件がある。電源を切っても続くという説明を、ローカルアプリの操作まで広げないことが大切だ。

Dotsの継続作業と保存される文脈

記憶の持ち方にも違いがある。Dotsは関連するChatGPTのメモリと独自の保存ノートを使い、すべての発言を丸ごと保持するものではない。Museアプリは会話をまたぐ記憶を持ち、利用者が記憶ファイルを読んで編集できる。どちらもモデルの入力上限だけでは説明できない、製品側の仕組みだ。

Museアプリの継続作業と編集できる記憶

顧客向け資料を更新する場合

任せる範囲を実行と確認で分ける

調べて作る

許可された資料を読む → 更新案を作る → 出典と変更箇所を残す。

判断を戻す

宛先、公開範囲、購入が関わる段階で、設定した承認に従う。

続ける条件を決める

いつ再開し、何を通知し、予算や接続が切れたらどう止まるかを確かめる。

図2 LATENTによる試行の構成例。モデルが確認を求める能力と、製品の権限・承認設定を別々に評価する。

Museアプリは公開・送信・支払いの前に承認を求めると案内している。Dotsでは既存のアプリ権限と自動の行動審査が働き、指示や規則に応じて続行、承認、本人への引き渡しを決める。「重要な行動の前に確認する」というモデルの説明だけで、製品のすべての操作が人の承認待ちになるとは判断できない。

Dotsの行動審査と停止の区別

継続する仕事では止め方も確認したい。DotsのPauseは主タスクを止める操作で、委譲済みタスクの停止や予定実行の取消しは別だ。完了済みの操作も巻き戻さない。試行では、停止後に送信や更新が残っていないかまで確認すると、任せる範囲を決めやすい。

料金とデータ利用の条件を読む

契約する対象 確認できた費用と枠
Wonder API 100万トークンあたり入力$4、キャッシュ入力$0.20、出力$20。web検索は1,000回$2.50を加算。長文の割増なし。
Muse Code 月額制のEveryday/High/Power/Maximum。使用量は基準の1/5/20/80倍。今回、通貨建ての月額は確認できなかった。
Museアプリ 無料利用と追加の購読プランがある。Muse Codeの契約やAPI単価とは別に扱う。
Dots 対象ChatGPTプランと利用枠を確認する。会話と委譲したWork/Codexの消費枠は別。単独Dots料金は今回未確認。

Meta Model APIの価格と追加費用

Muse Codeの購読枠とContributor mode

Dotsの対象プランと利用枠

Muse Codeの購読はContributor modeが初期設定で有効になっている。使用枠が増える代わりに、送信したプロンプト、コード、ファイル、文脈と応答をMetaの将来のモデル学習に使うことを認める。設定をオフにすれば、その後の内容は学習に使われない。業務用コードを入れる前に確認する条件だ。

Wonder APIにはContributor modeがなく、Standard modeの価格が適用される。購読に紐づくMuse Code専用の認証情報と、別に発行した従量APIキーも区別される。80倍という使用枠の説明から、80倍長く同じ仕事を続けられるとは限らない。仕事の大きさや再試行も消費量に影響する。

日本から使える範囲を確かめる

Museアプリの公式businessページは、米国・カナダの18歳以上への提供としている。日本での一般提供は確認できない。一方、APIとMuse Codeの利用地域は別の条件だ。Muse Codeの購読説明には地域による差があり、今回の公開資料では日本の契約可否と円建て価格を確定できなかった。

Museアプリの地域・年齢条件

Muse Codeの地域別条件

DotsはPro 100・200・500の18歳超へ段階展開され、除外国はEEA・英国・スイスと案内される。日本はこの除外に含まれない。Business PremiumとEnterpriseにも世界で順次展開し、Enterpriseは管理者の有効化が必要だ。対象プランでも即時に表示されるとは限らない。

Dotsの現行アクセス条件

10月9日の公式更新には、ChatGPTのモバイルアプリでDotsを作成できることも載る。これはモバイルアプリの機能であり、スマホのブラウザで同じ操作ができるという根拠にはならない。日本語での仕事の精度も、利用地域とは別に確かめたい。

モバイル作成とCodex連携の10月9日更新

どの仕事をどこへ任せるか

既存リポジトリの修正が目的なら、Muse Codeは編集、実行、承認、記憶が揃った候補になる。独自の業務システムへ組み込み、接続やログを自分で管理したいならWonder APIが候補だ。顧客の反応を追いながら資料を更新し、判断が必要なときに連絡してほしいなら、DotsやMuseアプリのような継続サービスを比較する方が目的に合う。

この整理は、LATENTの既存エージェント比較で扱った「完成品を作る仕事」と「継続する責任」の違いにつながる。新しいモデルを選ぶだけで、後者の通知、接続、予算管理まで決まるわけではない。まず一つの業務で、完成品の正確さ、確認の手間、再開時の記憶、停止後の状態を比べたい。

関連記事:Gemini agent・Dots・Museなどの業務比較

関連記事:Dotsに継続して任せる仕事

コーディングでは、仕事をさらに細かく分ける選択もある。ColGrep-Agentの記事では探索だけをローカルの小型モデルへ任せる構成を扱った。モデル、道具、継続の仕組みを分けて考えると、すべてを一つの製品へ任せる以外の構成も検討できる。

関連記事:コード探索をローカル2Bへ任せる

出典と未確認の範囲

比較基準日は2026年10月13日。公式発表、モデルカード、API・製品文書による比較であり、各サービスへ同じ仕事を任せた実測レビューではない。未確認は資料で確定できなかったという意味で、非対応の断定ではない。内部ツールの仕様や非公開の利用環境は機能の根拠に使っていない。

日本でのWonder APIとMuse Codeの契約可否、Muse Codeの実際の月額、各アカウントへのWonder搭載時期、日本語での長時間業務の品質は未確認だ。契約画面での地域条件とデータ利用設定を確認し、読み取りと下書き作成の小さな試行から判断するのが現実的になる。