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API単価を半分以下に下げたGPT-6 SolとLunaがリリース

第三者の評価では、課題1件あたりの費用がSolで約47%、Lunaで約61%減った。総合的な性能は前世代とほぼ同水準。誤答の抑制や業務の自動化では改善し、資料作成などでは成績が下がった。

AIに長い作業を任せるほど、1回の回答の値段より、仕事を終えるまでにかかる費用が重要になる。Sol と Luna の値下げで、どこまで負担は軽くなるのか。前モデルとの料金差と、第三者が測った仕事の質を確かめる。

この記事の要点

  1. APIの入力・出力の単価が半分以下になり、第三者の評価でも課題1件あたりの費用が下がった。
  2. 総合的な性能は前世代とほぼ同水準。誤答の抑制や業務の自動化では改善し、資料作成などでは成績が下がった。
  3. 発表時点の提供先は ChatGPT Work、Codex、APIで、通常の Chat ではまだ使えない。
GPT-6 SolとLunaの公式発表画像
出典:OpenAI

出来事

  • OpenAI が9月22日、日本時間23日午前3時に GPT-6 Sol と Luna を発表した。
  • ChatGPT Work と Codex では対象プランに順次提供し、APIでも利用できる。
  • 通常のAPI単価は、100万トークンあたり Sol が入力2ドル・出力10ドル、Luna が入力0.10ドル・出力0.50ドル。

一次情報:OpenAI の発表、Sol・Luna の仕様

Solは複雑な作業を担いLunaは大量の処理を安くこなす

GPT-6 Sol と Luna は、同月に登場した Astra に続くモデルだ。OpenAI は、Sol を複雑なプログラミングや複数の手順にまたがる作業向け、Luna を用途の絞られた大量の処理向けと位置づけている。最も高い性能を求める用途には、引き続き Astra を勧めている。

この位置づけから考えると、複数のファイルを調べてプログラムを修正する仕事では Sol、問い合わせの分類や文書からの項目抽出を大量に行う仕事では Luna が候補になる。ただし、これは用途の目安だ。安いモデルでも必要な精度を満たす仕事はあり、難しい処理を一律に Sol に任せればよいわけではない。

APIで扱える文章量の上限は、両モデルとも入力と出力を合わせて105万トークン注1。1回の出力は最大12万8,000トークンとなる。文字や画像を入力でき、出力は文字だ。扱える量が同じでも、長い資料の細部をどこまで正確に使えるかまで同じとは限らない。

APIの入力と出力の単価は前モデルの半分以下になった

今回の大きな変更は、APIの値下げだ。100万トークンあたりの入力料金は、Sol が4ドルから2ドル、Luna が0.20ドルから0.10ドルになった。出力料金は、Sol が20ドルから10ドル、Luna が1.20ドルから0.50ドルになる。

Sol は入力・出力ともに50%の値下げ。Luna は入力が50%、出力が約58%下がる。比較対象は、GPT-5.6 Sol と Luna の値下げ後の料金だ。OpenAI は今回の発表で両モデルの比較元を販促価格と呼んでいるが、Sol は少なくとも11月21日までの期間を示した価格、Luna は7月30日に引き下げた料金にあたる。Luna の値下げについて、この発表に終了期限の記載はない。前モデルが発売された当初の料金との比較ではない。

新しい Sol と Luna を比べると、通常の入力・出力の単価は Luna が Sol の20分の1になる。ただし、1件の仕事に使うトークン数や、やり直しの回数はモデルによって変わる。仕事を終えるまでの費用も、そのまま20分の1になるとはいえない。

図1APIの入力と出力の料金

100万トークンあたりの米ドル建て料金。通常の処理で、入力が27万2,000トークン以下の場合を比べた。

  • Sol の入力50%の値下げ

    GPT-5.6$4.00

    GPT-6$2.00

  • Sol の出力50%の値下げ

    GPT-5.6$20.00

    GPT-6$10.00

  • Luna の入力50%の値下げ

    GPT-5.6$0.20

    GPT-6$0.10

  • Luna の出力約58%の値下げ

    GPT-5.6$1.20

    GPT-6$0.50

前モデルの料金は値下げ後の料金。キャッシュの読み書きや、長い入力への追加料金は含めていない。

公式料金OpenAI の発表とSol・Luna の仕様に基づく。値下げ率は公表料金から計算した。

第三者の評価でも課題1件あたりの費用が下がった

第三者の評価機関 Artificial Analysis は、発表当日の検証で、総合指標 Intelligence Index の課題1件あたりの費用を公表した。Sol は前モデルの1.99ドルから1.06ドル、Luna は0.18ドルから0.07ドルに下がった。公表値から計算すると、それぞれ約47%、約61%の減少だ。

一方、総合的な性能は GPT-5.6 とほぼ同水準だと同機関は評価している。今回の結果で目立つのは、総合成績の大幅な上昇よりも、その水準の仕事にかかる費用が下がったことだ。

使用量が減った結果ではない。課題1件あたりの出力は、Sol が約2万9,000トークンから約3万1,000トークン、Luna が約4万1,000トークンから約5万1,000トークンに増えている。それでも費用が下がったことから、同機関は値下げによる効果と説明している。

この比較は、いずれも推論に使う計算量を最大にして測ったものだ。APIの初期値とは異なる。また、ここでいう1件は評価用の課題1件であり、問い合わせやプログラム修正の平均料金ではない。

図2第三者評価で測った課題1件あたりの費用

Artificial Analysis の Intelligence Index で測定。全モデルで推論量を最大にした。

  • Sol約47%の減少

    GPT-5.6$1.99

    GPT-6$1.06

  • Luna約61%の減少

    GPT-5.6$0.18

    GPT-6$0.07

総合的な性能は前世代とほぼ同水準。APIの単価ではなく、評価用の課題に使ったトークンの費用を比べている。

第三者の測定Artificial Analysis の9月22日の検証に基づく。費用は同機関の公表値を使用し、減少率を計算した。実際の業務1件にかかる費用を示すものではない。

性能が伸びた分野と前モデルを下回った分野がある

Artificial Analysis のプログラミング評価では、Sol と Luna で結果が分かれた。Codex を使って測った Coding Agent Index は、Sol が55から57に上がり、Luna は43から41に下がった。いずれも推論量を最大にした比較だ。

同機関の知識を問う試験 AA-Omniscience では、「幻覚率」が Sol で92%から60%、Luna で93%から77%に下がった。この指標は、誤答・部分正解・回答見送りを合わせた件数に占める誤答の割合を示す。Sol は回答を見送る場面が増えて誤答が減った一方、全問題に対する正答率は59%から54%に下がった。Luna の正答率は43%から44%で、ほぼ変わらない。

業務を自動化する AutomationBench-AA と、コマンド操作で作業を進める Terminal-Bench 4.0 でも、両モデルの成績が上がった。一方、44の職種にまたがる仕事を扱う GDPval-AA v2.1 では、両モデルとも前世代を下回った。同機関は出力を目視で調べ、見栄えの低下や、必要な項目の欠落が成績を押し下げる傾向があったと報告している。

OpenAI も、プログラミングやパソコン操作の改善を示す評価結果を公表した。同社は、自社モデルを研究環境やAPIで測っており、ChatGPTでの出力とはわずかに異なる場合があるとしている。競合モデルの成績は公開済みの報告から採ったという。このため、全モデルを同じ環境で測り直した結果として読むことはできない。

新モデルへの切り替えを考えるなら、単価と総合成績に加え、自分が任せている仕事で比べる必要がある。例えば、資料作成では見た目だけでなく、指定した項目がそろっているか、出典や数値が正しいかも確認したい。手直しが増えれば、APIで節約できた分が人の作業時間に置き換わることもある。

入力が27万2000トークンを超えると料金が上がる

Sol と Luna の料金規定には、長い入力への追加料金がある。入力が27万2,000トークンを超えると、そのリクエスト全体について、入力料金は2倍、出力料金は1.5倍になる。超えた部分だけが高くなるわけではない。

この場合、100万トークンあたりの料金は、Sol が入力4ドル・出力15ドル、Luna が入力0.20ドル・出力0.75ドルになる。105万トークンまで扱えるという仕様と、その範囲を通常の単価で使えることは別だ。

27万2,000トークンは、日本語の文章で試算すると、約35万~42万字、400字詰め原稿用紙なら約900~1,050枚分に相当する。文章量をつかむための参考値で、Sol・Lunaに送った際の実測値ではない。英語なら、OpenAIが示す1トークン約4文字という目安で、約109万文字に相当する。注1

画像は、解像度だけでなく、モデルと読み取りの細かさによって必要な量が変わる。参考例として、GPT-6 Astraで1,024×1,024ピクセルの画像を高精細に読み取る場合は、1枚あたり1,229トークンという公式の計算例がある。画像だけを足せば約220枚で27万2,000トークンに近づく。ただし、Sol・Luna向けの画像換算はこの資料に記載されておらず、同じ枚数を両モデルの目安にはできない。

また、27万2,000トークンは、今回打ち込んだ質問だけの量ではない。一緒に送る資料や画像、過去のやり取り、アプリ側の指示なども含めた入力全体で判定される。短い質問でも、大量の資料や長い会話履歴が付いていれば、この境目に近づく。

同じ指示や資料を繰り返し使う場合は、保存済みの入力を再利用するキャッシュで費用を抑えられる。キャッシュの読み出し料金は通常の入力より90%安い。一方、保存するときは入力単価の1.25倍かかるため、一度しか使わない資料と、何度も参照する資料では効果が違う。

料金を見積もるには、入力と出力の量、長い入力への追加料金、キャッシュを再利用できる割合を合わせて考える必要がある。料金表の単価だけで月額を半分にできると見込むのは早い。

通常のChatにはまだ提供されていない

発表時点の提供先は、ChatGPT Work、Codex、APIだ。ChatGPT Work と Codex では、Plus、Pro、Business、Enterprise、Edu の利用者に順次提供する。Free と Go の利用者は、デスクトップアプリで Luna を使える。

通常の Chat には、発表時点では両モデルとも提供されていない。また、ChatGPTへの提供は当日中に段階的に広げるとしており、発表直後に全員の画面へ表示されるわけではない。

APIでは、それぞれ gpt-6-sol、gpt-6-luna という名前で利用できる。今回の半分以下という値下げはAPIの入力・出力の単価についての話で、ChatGPTの月額料金が半分になるという発表ではない。

これまでの経緯

日付は発表元の表記に従う。今回の発表は日本時間9月23日午前3時に当たる。

  1. OpenAI が前世代の GPT-5.6 シリーズを発表。

  2. GPT-6 Astra を発表し、一部の組織への提供を開始。

  3. GPT-6 Sol と Luna を発表。APIの単価を前モデルから引き下げた。

出典・参考資料

更新履歴

  • 公開しました。
  • 文字数と画像枚数によるトークン数の目安を補足しました。
  • 第三者評価で改善した点と幻覚率の定義を補足し、紹介文・要点も更新しました。前モデルの料金条件と評価結果の説明を訂正し、画像換算例の保存版リンクを変更しました。

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